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小林あか里、亡き父との約束を胸に地元安曇野で勝利! 男子は沢田時 全日本選手権MTB XCC

7月19日、第39回全日本マウンテンバイク選手権大会のXCC(ショートトラック)が開催された。女子エリートでは小林あか里(Kasserine Fietz Huis Cycling Team)、男子エリートでは沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)が優勝し、全日本チャンピオンジャージを獲得。ともに異なるドラマに彩られた一日となった。

小林あか里、亡き父との約束を胸に復帰戦V

女子エリートには9名が出走。1周700mのコースを12周する8.4kmで争われた。

スタートでは川口うらら(NEXETIS)がホールショットを決めて先行。しかし2周目、レースの流れは大きく変わった。小林はこの周回で1分38秒55のファステストラップを記録すると、一気に先頭へ浮上。そのまま後続との差を広げ、21分33秒66でフィニッシュした。2位の石田唯(TRKworks)には33秒36差をつけての優勝。川口が3位に入った。

だが、この勝利は単なる全日本タイトル獲得ではなかった。小林にとって本大会は約2年ぶりのマウンテンバイクレース。出場を決めたのも締め切り直前だったという。

「出場を決めたのは本当にギリギリ。締め切りの2〜3日前でした」(小林)

その背景には、父との最後の約束があった。

「父親がLINEで『全日本を走って』と言ったのが最後の言葉だったのです。亡くなるまで『じゃあ走るね』って言えなくて、それがずっと心残りでした」(小林)

迷いを抱えるなか、メンターから「結果ではなく、まず出場して区切りをつけた方がいい」と背中を押され、復帰を決意。準備期間も十分ではなかった。大会で使用するバイクを組み上げることができたのは大会前週の半ば。さらにコース改修のため1週間ほど現地を走ることができず、マウンテンバイクで走れたのは週末のみだったという。その一方で、ロードバイクでみっちりとトレーニングを重ねながらコンディションを整え、本番を迎えた。

それでもレースでは圧倒的な強さを見せた。

左)小林ゆか里、右)母で大会実行委員長でレースディレクターを務める小林可奈子さん

「本当は半分くらいまで様子を見て、終盤にアタックしようと思っていたのです。でも先頭のペースが思ったより上がらなかったので、一回行ってみようと思いました」

その判断が勝負を分けた。2周目のアタックでライバルたちを引き離すと、そのまま独走態勢へ持ち込んだ。

さらに今回の勝利には、開催地ならではの特別な意味もあった。

「もともとこの山を切り開いたのが父親です。今回も一緒に山を作ってくれた人たちがコースを整備してくれました。感謝を伝えるには、自分がここを走って、その走りを見せることだと思っていました」

父が切り開いたフィールドで、亡き父との約束を果たす全日本タイトル。小林にとって、この勝利は結果以上の意味を持つ一日となった。

沢田時、0.35秒差の激戦を制し男子王者に

男子エリートは43名が出走。1周700mのコースを14周する9.8kmで争われた。

レース序盤から優勝候補たちによる激しい主導権争いが繰り広げられた。2周目には高橋翔(drawer THE RACING)が首位へ浮上。3周目には松本一成、4周目には沢田がトップに立つなど、先頭は目まぐるしく入れ替わった。

中盤以降も集団は大きく崩れず、松本、高橋、北林力(UNNO FACTORY RACING)、副島達海(TRKworks)らが代わる代わるレースをリード。決定的な差がつかないまま勝負は終盤へ持ち込まれた。

11周目には北林が首位へ浮上し、高橋も再びトップを奪還。13周終了時点では高橋が先頭、北林と沢田が続き、優勝争いは3人に絞られた。

そしてラスト700m。

「慌てなかったですね。もうラスト勝負だと思っていました」(沢田)

沢田は冷静に勝機を待った。最終周回を1分29秒52で走破すると、高橋と北林を逆転。フィニッシュでは高橋に0.35秒差をつけ、21分38秒16で全日本タイトルを獲得した。

上位3人のタイム差はわずか0.99秒。最後まで勝敗の読めない展開となったなか、沢田が持ち前の勝負強さを発揮した。

「今まで全日本チャンピオンは5回目ですけど、多分一番接戦だった。その中で勝てたのは大きいです」(沢田)

翌日のメイン戦・XCOを彩る安曇野の森

全日本選手権のメインレースとなるXCO(クロスカントリー・オリンピック)は7月20日に開催。大会実行委員長でレースディレクターを務める小林可奈子さんに、観戦のポイントとコース特性について聞いた。

必見の観戦スポット「ストロベリーロード」

「初めて来た方でも少し登れば見ることができます。選手がスピードに乗って下ってくる迫力を感じてもらえると思います」

スタート・フィニッシュエリア周辺も見逃せない。

「スタートダッシュの迫力が見られますし、ループ区間を通って戻ってくる選手の走りも見られます。林道沿いを歩けば、バンジーロックやマサキハイツなど、さまざまなセクションを追いかけながら観戦できます」

勝負を分けるのは「下り」

レースの勝負どころについては「下り」を挙げる。「登りではそれほど大きな差はつきませんが、下りはスキル差が出ます。特に疲労がたまる後半になると技術力の差がレースに表れてきます」

世界基準を意識した「流れ」と「スピード」

コース設計では世界基準を意識したという。「セクション一つ一つではなく、それらが流れるようにつながることを意識しました。ストップ&ゴーではなく、スピードを維持しながら走れるコースになっています」

XCCとは違う「情報取りに行く面白さ」

「XCCは会場でコンパクトに楽しめますが、XCOは観客自身がコースを歩いて情報を取りに行く面白さがあります。安曇野の森を楽しみながら観戦してほしいです」

最後に小林さんは、この大会ならではの魅力をこう語った。

「野鳥がいて、虫がいて、水や空気がきれいな森です。今回のコンセプトは『山で遊んでいたら日本一が走っていた』。レースだけでなく、この空気感そのものを楽しんでほしいですね」

安曇野の森を舞台に争われる全日本XCO。日本一を決める熱戦とともに、この土地ならではの自然や空気感もまた、大会の大きな魅力となっている。

観戦情報

見どころマップ・出展ブース情報は大会公式Instagramで公開予定。
@2026mtb_nc_azumino

【ご来場の方へ】
現地は出展ブースにより飲食やスポンサーイベントが用意されています。熱中症に注意し、事前に水分を準備したうえで、歩きやすい格好と虫対策をしてご観戦ください。

安曇野市大会サイト
https://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/1300/141909.html

リザルト

女子エリート

1位 小林あか里(Kasserine Fietz Huis Cycling Team)
21分33秒66
2位 石田唯(TRKworks)
+33秒36
3位 川口うらら(NEXETIS)
+1分16秒17
4位 末政実緒(Ride with Me)
-6Lap
5位 浜下玲音(TEAM BG8)
-6Lap

男子エリート

1位 沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)
21分38秒16
2位 高橋翔(drawer THE RACING)
+0秒35
3位 北林力(UNNO FACTORY RACING)
+0秒99
4位 野嵜然新(drawer THE RACING)
+4秒65
5位 副島達海(TRKworks)
+6秒30

Men Advance

1位 牧野崇(COGS)
24分02秒95
2位 向山浩司(武士道ペイントA-CAP)
+44秒12
3位 片岡武(泥鍛錬部)
+57秒59

Men Challenge

1位 丸山厚(ROND CX TEAM)
23分27秒79
2位 河原敦(Sonic Racing)
-1Lap
3位 佐々木隆(滋賀)
-1Lap

Men Open

1位 近藤虎流(松商学園)
4分32秒30
2位 奥西太ノ助(ORT)
+30秒54
3位 宮城太一(Club La.sista OffroadTeam)
+52秒90

Women Open

1位 仁宮梨宝(日本ろう自転車競技協会)
5分50秒96
※出走1名・完走1名

Kids(小学5年以上)

1位 平川怜(白馬マウンテンバイククラブ)
3分14秒01
2位 横田和晴(イオンバイクJr.レーシング)
+27秒66
3位 石井祐(イオンバイクJr.レーシング)
+29秒82

Kids(小学3〜4年生)

1位 細萱悠嵩(MTBクラブ安曇野)
1分05秒41
2位 渡邊絢心(白馬マウンテンバイククラブ)
+1秒18
3位 丸山稜真(白馬マウンテンバイククラブ)
+3秒39

XCC Kids(小学1〜2年生)

1位 村上輪武(村上兄弟・7歳)
1分45秒30(Kids総合9位)
2位 齋藤迅(6歳)
1分52秒02(Kids総合10位)
3位 坂本麓太朗(7歳)
1分54秒55(Kids総合11位)

大会概要

  • 大会名:第39回全日本マウンテンバイク選手権大会
  • 開催地:長野県安曇野市
  • XCC開催日:2026年7月19日
  • XCO開催日:2026年7月20日
  • XCC距離:女子8.4km(700m×12周)/ 男子9.8km(700m×14周)

 

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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