
恵那教育会館での夫婦二人展のお知らせ|筆とまなざし#479
成瀬洋平
- 2026年10月28日
喜界島の旅の記録をまとめた一冊の本「邂逅の浜」の販売と作品展示
もう少しオルコのお話をしたいのだけれど、11月に展覧会を行なうことになっているので、先にその告知を兼ねた原稿を書きたいと思う。
11月13日(金)から15日(日)まで、岐阜県恵那市の恵那教育会館で展覧会を開催することになった。年に一度行なわれる教育会館の「会館祭り」に合わせて、妻といっしょに二人展をさせていただくことになっている。
二人展といっても、テーマがそれぞれ異なるのでまったく統一性はないのだが、ぼくは2月に旅し、この連載でも書いた喜界島の絵を展示する予定だ。この展示に合わせて、原稿を加筆修正したものを一冊の本にまとめて販売したいと思っていて、目下編集作業と展示準備作業中である。展示と本のタイトルは「邂逅の浜」とした。
喜界島の旅は、戦時中に特攻隊員として喜界島に駐屯し、島で敗戦を迎えた大叔父の足跡をたどる旅だった。手がかりや事前情報はほとんどなく、大叔父が激動の時期をすごした島を歩いてみたいと思って出かけた旅だったのだが、奇跡的な出会いに恵まれてその足跡をたどることができた。と同時に、特攻とはなにか、そして特攻の歴史から太平洋戦争を自分なりに考える大きなきっかけとなっている。皮肉にも、この一年で日本社会は急激に戦時体制に近づいている。特攻の歴史を知ることは、これからの時代に直接結びついていることをひしひしと感じている。
自分の足で「あるく・みる・きく」。ぼくの旅のスタイルを改めて認識する
バックパックにテントと画材を詰めての旅だった。ひさしぶりのバックパッキングの旅だったのだが、これが自分のスタイルなのだと改めて認識する機会となった。学生時代には、カナダ西海岸先住民と日本人移民の交流史を訪ねて歩いたり、東北地方に伝わる鮭の伝承「鮭のオオスケ譚」を探して歩いたりしていた。バックパックに衣食住を詰め込んで、自分の足で歩いて、見聞きし、考える。これが、ものごとを考えるうえでぼくがいちばん大切にしていることなのだった。
自分の足で「あるく・みる・きく」旅によってものごとを考えようと思うのは、民俗学者の宮本常一の影響が大きい。「旅する巨人」といわれ、日本津々浦々を歩き尽くした旅人である。
インターネットが普及してひさしいし、この数年で急速にAIが台頭している。スマホひとつで地球の裏側の情報でさえリアルタイムで知ることのできる時代だ。しかし、だからこそ自分の足で歩いて見聞きし考えることの価値はいままで以上に大きなものになっている。そこで拾遺した一次資料はなにものにも変え難い強さを持っているのだ。
自分自身が、ひとりの「忘れられた日本人」だと思っている。その視座に立って、歩いて旅し、ものごとを考えていきたい。
展覧会は以下の日程で行なわれるので、近所の方もそうでない方も、ぜひ足を運んでいただけたらうれしい。
恵那教育会館・会館祭り
住所:岐阜県恵那市大井町後田1058-11
会期:2026年11月13日(金)~15日(日)
時間:10:00〜16:00(15日は15:00まで)
入場料:無料
著者:ライター・絵描き・クライマー/成瀬洋平
1982年岐阜県生まれ、在住。 山やクライミングでのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作したアトリエ小屋で制作に取り組みながら、地元の岩場に通い、各地へクライミングトリップに出かけるのが楽しみ。日本山岳ガイド協会認定フリークライミングインストラクターでもあり、クライミング講習会も行なっている。

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