
マチューがシャンゼリゼで劇的逃げ切り ポガチャルは5度目の個人総合優勝|ツール・ド・フランス2026
福光俊介
- 2026年07月27日
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世界最大の自転車ロードレース、ツール・ド・フランス2026が現地7月26日に3週間の戦いに幕を閉じた。最後を飾ったのは恒例のパリ・シャンゼリゼの周回コース。モンマルトルの丘でアタックしたマチュー・フェンデルプール(アルペシン・プレミアテック、オランダ)とメイン集団が追い込む形になり、間一髪でマチューが逃げ切り。最終・21ステージを制した。タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)はここまで守ってきたマイヨ・ジョーヌを運んで、5度目の個人総合優勝。大会の優勝記録に並んだ。
コース短縮でシャンゼリゼでのスタート・フィニッシュに
7月4日にスペイン・バルセロナで開幕した今年のツール。最初の3日間はカタルーニャ州を走り、その後フランスへ。ピレネー山脈、中央山塊、ヴォージュ山脈と越え、第3週ではアルプス山脈へ。名峰アルプ・デュエズ2連戦は予想以上の激戦となり、ついに最終目的地パリ到達の日を迎えた。

選手たちは第20ステージを終えると、高速鉄道TGVで一路パリへ。133kmを予定していた第21ステージは、フランス南西部・ジロンド県で広がりを見せる山火事に同国の治安部隊がリソースを割いていることから、大会は同県への連帯を表明するとともにレース距離を89kmに短縮。スタート予定地だったトワリーでは出走サインとチームプレゼンテーションのみを行い、その後選手たちはパリ・シャンゼリゼへ移動してレースをスタートさせた。

スタートしてからは、ツールの最終日らしくパレード走行。ポガチャル擁するUAEチームエミレーツ・XRGのメンバーが並んでフォトセッションを行ったり、選手間で3週間の走りを労ったりと和やかなムードでシャンゼリゼ周回を2回めぐった。
その後レースは本格化。バティスト・ヴェストロフール(ロット・アンテルマルシェ、フランス)が約15km独走したのち、シャビエル・アスパレン(ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チーム、スペイン)とティボー・ゲルナレック(トタルエネルジー、フランス)に逃げがチェンジ。メイン集団に対して35秒差をつけた。
なお、5周目に入ると同時にタイム計測を行い、その時点での所要タイムをもって個人総合成績を確定させている。

残り600m、マチュー渾身のアタック
6.8kmのシャンゼリゼ小周回を6周し終えたところで、昨年から採用されたモンマルトルの丘を含んだ約16kmの大周回へ。3回の上りは登坂距離1km・勾配6.5%で、路面が石畳。クラシックレースさながらの展開になって、マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)のアタックをきっかけにポガチャルら9人が先行。さらに6人が追いついて、15人が一時リードしたが、シャンゼリゼに戻るところでメイン集団が合流。レースはふりだしに戻る。

モンマルトル登坂の2回目では、ポガチャルがスピードアップ。これに反応できたのがマチューだけで、頂上通過後の下りでレムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ベルギー)とピーダスンが合流。これに対してメイン集団はポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム、フランス)が牽引役を担って、前を走っていた4人を引き戻した。
最終周回に入ると、モンマルトルの上りに向かってピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームやUAEチームエミレーツ・XRG、チーム ヴィスマ・リースアバイクなどが前方を固める。登坂が始まると、再びポガチャルがスピードアップ。さらにはマチューがカウンターで先頭へ出て、ポガチャルが追う形に。先行する2人を6選手が追走し、再びセクサスが牽引する約40人のメイン集団が続く構図になる。

フィニッシュ前4kmでメイン集団が追走6人を捕らえ、数秒差でマチューとポガチャルを追いかける。最後の1kmを示すフラムルージュ通過時のタイム差は5秒。前の2人は懸命に逃げながらコンコルド広場を抜け、シャンゼリゼの最終ストレートにやってきた。
集団が有利かと思われた矢先、マチューが残り600mで渾身のアタック。ポガチャルは集団へと下がったが、マチューは逃げ続ける。後ろではピーダスンの加速をきっかけにスプリントが始まる。迫る集団を尻目にマチューは最後の力を振り絞ってフィニッシュへ。わずかな差で逃げ切って、最終・第21ステージの勝利を決めた。
ポガチャル「パートナーと両親にこの勝利をささげたい」
マチューは第9ステージに続く今大会2勝目。短い急坂と石畳という得意なシチュエーションで、劇的な勝利に結びつけた。チームメートのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)も集団のスプリントで先着し2位。アルペシン勢がワン・ツーフィニッシュを達成した。

マチューらの後方では、ポガチャルが5度目の大会制覇を決めるフィニッシュ。ジャック・アンクティル、エディ・メルクス、ベルナール・イノー、ミゲル・インドゥラインに続く、5人目の「5勝クラブ」入りとなった。全21ステージのうち、17ステージでマイヨ・ジョーヌを着続け、5ステージで勝利。個人総合2位のレムコに6分26秒差をつける圧勝劇だった。
シャンゼリゼの総合表彰台に上がったポガチャルはスピーチを求められ、「言葉を用意していたのだけれど忘れてしまった」と笑いながら、「素晴らしいレースを作ってくれたフランスのみなさんに感謝している。また、良いレースができたのはライバルたちのおかげ。みんなにありがとうと伝えたい。ファンやチームメートにも感謝を伝えたい。そして、最高のパートナー、両親に勝利をささげたい」と言葉を紡いだ。そして「今夜はパーティーだ!」と締めて、5度目の個人総合優勝をみずから祝った。

最終的な個人総合成績は、1位ポガチャル、2位レムコに続き、3位にはイサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG、メキシコ)が入賞し、同時にヤングライダー賞のマイヨ・ブランも獲得。ポイント賞のマイヨ・ヴェールはピーダスン、山岳賞のマイヨ・アポワはリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)がそれぞれ獲得。チーム総合にはリドル・トレックが輝き、3週間で最も印象的な走りを見せた選手に贈られるスーパー敢闘賞にはカラパスが選ばれている。

3週間の戦いを終えたツール。すでに次回大会の開幕地と日程が決まっていて、2027年7月2日にイギリス・スコットランドのエディンバラがグラン・デパールを務めることになっている。
ツール・ド・フランス2026 第21ステージ 結果
1 マチュー・フェンデルプール(アルペシン・プレミアテック、オランダ)1:58:49″
2 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・プレミアテック、ベルギー)ST
3 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)
4 マックス・カンター(XDS・アスタナ チーム、ドイツ)
5 オラフ・コーイ(デカトロン・CMA CGM チーム、オランダ)
6 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)
7 リック・プルイマース(チューダー プロサイクリングチーム、オランダ)
8 アントニー・テュルジス(トタルエネルジー、フランス)
9 ミラン・フレティン(コフィディス、ベルギー)
10 クレマン・リュソ(グルパマ・FDJユナイテッド、フランス)
個人総合成績
1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)72:56:26
2 レムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ベルギー)+6’26”
3 イサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG、メキシコ)+9’42”
4 ポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム、フランス)+11’56”
5 レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)+13’02”
6 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+14’59”
7 フアン・アユソ(リドル・トレック、スペイン)+17’48”
8 リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)+20’00”
9 トーマス・ピドコック(ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チーム、イギリス)+29’28”
10 ジョルダン・ジェガット(トタルエネルジー、フランス)+33’21”
ポイント賞
マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)
山岳賞
リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)
ヤングライダー賞
イサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG、メキシコ)
チーム総合成績
リドル・トレック
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