
高岡亮寛が男子45-49歳で圧巻の独走優勝!森廣真奈が銀メダル|UCIグラベル世界選手権
せいちゃん
- 2026年10月12日
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オーストラリア・西オーストラリア州ナンナップで開催された「2026 UCIグラベル世界選手権」。ヨーロッパ外初開催となった記念すべき大舞台で、日本勢が歴史的な快挙を成し遂げた。男子45-49歳では高岡亮寛が序盤から抜け出し、約100kmを独走して世界チャンピオンに戴冠。女子40-44歳では森廣真奈が最大の難所で区間最速をマークする登坂力を武器に激戦を繰り広げ、4秒差の接戦を制して見事銀メダルを獲得した。
ヨーロッパ外初開催のグラベル世界選 直前のUCIルール変更という波乱
第5回を迎えたUCIグラベル世界選手権の舞台となったのは、西オーストラリア州南西部に位置する自然豊かな町・ナンナップ。ヨーロッパ以外での開催は大会史上初であり、ブラックウッド・バレーの原生林や松林、農場を縫うように走るコースは、赤土や硬く締まったクレイ、小石(ピー・グラベル)が混ざり合うタフなグラベルが全体の80%以上を占め、絶え間なくアップダウンが繰り返される過酷なレイアウトが用意された。日本からはエリートおよび年代別マスターズカテゴリーを合わせて29名のエントリーが集まり、遠くオーストラリアの地に集結した。
しかし開幕直前、現場に大きな動揺が走った。UCI(国際自転車競技連合)が大会直前に規則の運用方針を急遽変更。「他競技(ロード、MTB、シクロクロス等)であっても、直近のランキングでエリートUCIポイントを保持している選手は、年代別カテゴリーではなくエリートカテゴリーに出場しなければならない」という通達を出したのだ。
この直前の変更に対し、女子35-39歳クラスに出場予定だった元オーストラリア女子ロード王者のペタ・ミュレンスが「レースの48時間前にエリートへ格上げされたと告げられた。数千ドルをかけて準備してきた選手に対し、直前にルールを遡及適用するのは理不尽」とメディアを通じて怒りをあらわにした。この措置は12名ほどの選手に影響を及ぼし、日本勢でもMTBクロスカントリーでUCIポイントを保持していた原睦と片岡誉が、年代別からエリートでの出走を余儀なくされる波乱の幕開けとなった。
女子40-44歳:森廣真奈がEllis Creekで区間最速 猛追を4秒差で振り切り銀メダル

10月10日(土)に行われた女子カテゴリー。125.6km(獲得標高3,179m)で争われた女子40-44歳には、今年5月に世界選と同じ南西部を舞台に開催されたUCIグラベルワールドシリーズ「セブン・グラベル(SEVEN Gravel)」の同クラス覇者である森廣真奈が出走した。森廣は今年8月に北海道ニセコで開催された「UCIグランフォンド世界選手権」でも女子40-44歳で銀メダルを獲得しており、世界大会での連続表彰台に期待がかかっていた。
レースは序盤から、2024年の女子35-39歳世界チャンピオンであるキム・クナップス(ベルギー)がハイペースを刻んで独走態勢を築く。森廣は最初のセクション(Start to Brockman)をトップと1分02秒差の区間2位でクリアし、続くBrockman Climb(登坂区間)でも区間2位と好位置をキープする。
中盤の巡航区間で、2019年・2023年UCI MTBマスターズ世界王者のカロリーナ・マルドナド(アルゼンチン)がペースを上げ、一時は森廣の前に出る。しかし、レース後半に差しかかる難所「Ellis Creek Climb」で森廣が圧巻の走りを見せた。
森廣はこの登坂を11分08秒で駆け抜け、独走するクナップスをも上回るカテゴリー最速タイムを記録。マルドナドを一気に1分以上突き放し、頂上通過時点で再び単独2位へと躍り出た。
続く平坦とアップダウンでもリードを保ち、最後の難所「Folly Climb」の頂上を通過した時点で、マルドナドに対するアドバンテージは2分12秒にまで広がっていた。
しかし、ラスト約20kmの「Folly to Finish」セクションで、マルドナドが驚異的なハイペースで追撃を開始する。森廣とのタイム差は刻一刻と縮まり、フィニッシュエリア直前の「Finish Chute Entry」を通過した瞬間、森廣と背後に迫るマルドナドの差はわずか6秒にまで縮まっていた。
グランジ・ロードのフィニッシュラインへ向けて、森廣は残された力をすべて振り絞ってスプリント。猛然と追いすがるマルドナドをわずか4秒差で振り切り、5時間11分40秒、2位でフィニッシュラインを駆け抜けた。
男子45-49歳:高岡亮寛がBrockmanで仕掛ける 100kmを独走し悲願のアルカンシェル獲得

翌11日(日)に開催された男子45-49歳カテゴリーは、144km(獲得標高3,713m)という過酷なコース。スタートリストには、グランツール総合トップ10の実績を持つ元プロロードレーサーで全米マスターズ王者のトム・ダニエルソン(アメリカ)、豪州MTB・シクロクロス界の重鎮で野辺山シクロクロス優勝経験もあるクリス・ジョンゲワード(オーストラリア)ら、世界屈指の強豪が名を連ねた。
この豪華な顔ぶれの中で、完全無欠のレースを展開したのが高岡亮寛だった。2024年のセブン・グラベル同クラス覇者であり、8月の「HYSK Gravel Classic Yakurai」でも圧勝を収めていた高岡は、序盤から鋭い動きを見せる。
スタートから最初の勝負所である「Brockman Climb」の登り口まで集団前方で位置取ると、登坂でペースアップ。ダニエルソンと並ぶ区間1位タイの7分25秒で頂上をクリアした。
そして、Brockman Climbを終えた下りと平坦区間(Brockman to Arcadia)で、高岡が渾身の単独アタックを仕掛けた。
高岡はこの区間をハイペースで駆け抜け、追走するヘイデン・アームストロング(オーストラリア)やダニエルソンらに1分50秒前後の差をつけて単独先頭に立つ。フィニッシュまで約100kmを残した段階で、独走劇の幕が上がった。
追走集団も手をこまねいていたわけではない。「Arcadia to Ellis Creek」ではアームストロングが区間1位のタイムで追い上げ、一時42秒差まで迫る場面もあった。しかし、高岡は「Ellis Creek Climb」を9分03秒(区間2位)の手堅いタイムで越えると、続く後半最大の巡航セクション「Ellis Creek to Folly」で決定的な一撃を放った。
赤土とピー・グラベルが続く過酷なアップダウンで、高岡はカテゴリー最速となる1時間06分32秒をマーク。追走するダニエルソンとアームストロングに対し、一気に2分45秒以上の大量リードを築き上げたのだ。
最後の難所「Folly Climb」も危なげなくクリアし、残り約20km。後方ではダニエルソンとアームストロングが合流し、協調して激しい追い上げを見せたが、高岡の築いたリードは揺るがなかった。
Brockman Highwayからラスト1kmの舗装路へと単独で姿を現した高岡は、最後まで力強いペダリングを維持。グランジ・ロードのフィニッシュラインを、4時間44分59秒で駆け抜けた。
ホーヘルラントに続く史上2人目の快挙 グランフォンド&グラベルの「ダブル・アルカンシェル」
高岡の今回の勝利は、自転車界の歴史に刻まれる金字塔となった。高岡は2024年9月にデンマーク・オールボーで開催された「UCIグランフォンド世界選手権」男子45-49歳クラスで優勝しており、今回のグラベル世界選手権制覇によって、グランフォンドとグラベルの両方で世界チャンピオンに輝いた史上2人目のライダーとなった。
この偉業を達成しているのは、元ワールドツアープロでツール・ド・フランスの山岳賞ジャージ着用経験を持つジョニー・ホーヘルラント(オランダ)のみ。ホーヘルラントはグランフォンド世界選で2度(2021年サラエボ35-39歳、2023年グラスゴー40-44歳)、グラベル世界選でも2023年ベネト大会に続き、今大会の男子40-44歳クラスをスプリントで制して2度目の優勝を果たしている。
オンロードとオフロード、異なるスキルと究極のフィジカルが求められる2大カテゴリーで世界一に上り詰めた高岡。日本のアマチュアサイクリング界を牽引し続けてきたパイオニアが、世界の頂点でまばゆいアルカンシェルに袖を通した。
大会結果(リザルト)
男子45-49歳(144km)
1位 高岡 亮寛(日本) 4:44:59
2位 ヘイデン・アームストロング(オーストラリア) +0:34
3位 トム・ダニエルソン(アメリカ) +0:34
4位 クリス・ジョンゲワード(オーストラリア) +3:12
5位 マシュー・ダービー(オーストラリア) +5:00
…
42位 太田 好政(日本) +54:04
女子40-44歳(125.6km)
1位 キム・クナップス(ベルギー) 5:00:57
2位 森廣 真奈(日本) +10:43
3位 カロリーナ・マルドナド(アルゼンチン) +10:47
4位 ブルック・レンドベイ(オーストラリア) +13:40
5位 マリア・オソフスカ(ポーランド) +15:54
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 写真提供:森廣真奈(Roppongi Expres)
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PROFILE
せいちゃん
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている



















