
Onの新作レーシングシューズ「Cloudboom Strike 2」が発売!|ランニングエコノミー1.6パーセント向上の試験結果
竹中 侑毅
- 2026年07月31日
INDEX
スイスのスポーツブランド「On(オン)」が、最高峰のレーシングシューズ「Cloudboom Strike」の第2世代を発売した。
ソールを横から見ると、前足部と中足部に溝が入っている。この溝を、Onは「クッショニングチャネル」と呼ぶ。装飾ではない。マラソンの最も過酷な終盤に対して、Onが用意した答えである。
Onが掲げた開発の狙いは、スピードを最大化することと、それを終盤まで維持すること。
何が変わったのか
- ソール構造が刷新された。 前足部と中足部に配置した溝が、前足部のクッション部分を独立させる新技術「CloudTec Sphere™(クラウドテック スフィア)」を搭載
- 軽くなった。 ミッドソール(靴底のクッション層)の素材を刷新し、前作から15%の軽量化。片足191g(メンズ26.5cm)で、前作より19g軽い
- 安くなった。 前作の38,500円から3,300円下がり、35,200円(税込)
Onがこのシューズに設定したターゲットは「1秒でも速く走ることを目標とするランナー」、想定距離はハーフマラソンからフルマラソンまでだ。
ソールの特徴的な溝は
Onは新技術をこう定義する。
緻密に計算して配置された溝により、フォアフット(前足部)のポッドを独立させた構造のクッショニングシステム。この構造がHelion™ HF ハイパーフォームのさらなる圧縮と伸張を可能にし、エネルギーリターンを最大化する。
気になるのが、この「独立させた」という部分だ。
溝でポッドを切り離すことで、ミッドソールの「さらなる圧縮と伸張」が可能になる。より深く沈み、より大きく戻るということだ。
狙いは、接地の角度を問わない点にもある。Onはこれを「あらゆる接地角度に対応する、360度・全方位の構造的クッショニング」と表現する。
そしてメリットは4つ。長距離における持続的なクッション性、エネルギーリターンの最大化、スムーズに加速できるライド感、そして軽量化への貢献である。
狙いは「マラソン後半でも走り続けられる」こと。30km以降でも「脚を残し」最高のパフォーマンスを発揮させることなのだ。
Onが発表したランニングエコノミー試験の結果

Onによると、ケープタウン大学と行った試験では、「LightSpray Cloudboom Strike 2」は業界トップクラスのベンチマークシューズと比較して、ランニングエコノミーが1.6%向上したという。26名を対象に、トレッドミルで酸素消費量を計測した試験である。
ランニングエコノミーは、走りの燃費にあたる指標だ。あるペースを保つのに酸素をどれだけ使うかを示し、数値が小さいほど省エネで、同じ体力でより長く走れる。
1.6%という数値について、来日した開発担当のルーカス・ケルナーさんは「フルマラソンを3時間で走るようなランナーにとって約2分20秒の記録短縮につながる数字」と説明した。特に、サブ3まであともう少しというランナーには、このシューズを検討する理由になる数字だ。

燃費が良くなる仕組みは以下だ。
ミッドソールが深く沈んで着地の衝撃を引き受けると、脚の剛性(脚がバネとして働くときの強さ)が高まる。バネが強くなるぶん、筋肉の仕事は減る。
筋肉の仕事が少なくて済めば、終盤まで脚が残る。Onが「マラソン終盤における粘り強さ」と呼ぶのは、この効果だろう。
ソールを軽量化しても、かかとはサポート
ミッドソールの「Helion™ HF(ヘリオン ハイパーフォーム)」は、従来と異なる新素材を採用して15%軽量化した。Onは「ブランド史上最も弾力性に優れたフォーム」と位置づける。その2層のフォームの間には、湾曲したカーボン配合のプレート「Speedboard®」が挟み込まれている。前作以上の硬度を持ちながら薄型化された。
かかとには、柔らかくサポート力のある新しい構造を採用。靴擦れや水ぶくれの原因となる摩擦を軽減する。アッパーは通気性を高めた新しいレノウィーブ(絡み織り)で、足を正しく固定する低伸縮性と耐摩耗性を備える。アウトソールにはカーボンナノチューブラバーを新たに採用し、軽量性とグリップ性能を両立させた。
各パーツを軽量化していった結果が、191gである。歴代のCloudboomと並べると、その差がわかりやすい。
| モデル | 発売年 | 重量 |
|---|---|---|
| Cloudboom | 2020 | 220g |
| Cloudboom Echo | 2021 | 220g |
| Cloudboom Echo 3 | 2023 | 215g |
| Cloudboom Strike | 2024 | 210g |
| Cloudboom Strike 2 | 2026 | 191g |
箱根で聞いた、選手の手応え
2026年7月中旬、メディア向けのイベントが行われた。
場所は神奈川・箱根。箱根駅伝の舞台であり、日本のロードレース文化を象徴する場所である。
イベントには、元箱根駅伝ランナーで、現在はOnとパートナーシップ契約を結ぶSUBARU陸上競技部の山本唯翔選手と斎藤将也選手が登場した。ランニングセッションの先導に加え、シューズ選びやフォーム、リカバリー方法のレクチャーも行われた。
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新作を試した2人にも好評なようだ。
「接地してから蹴り出し、次に足を前に出すときのレスポンスが前作よりもタイムラグがありません。マラソン後半にきつくなっても、足が自然と前に出てくれるサポートをしてくれるのが良さだと思います」(山本選手)
「前足部が斬新な作りで、速く走るほどクッションを活かせます。アッパー素材も新しく変わり、長く走るために作られているので、レース後半にかけてもストレスなく走れますし、通気性も良いです」(斎藤選手)
世界各地のマラソンでも自己ベストを更新しているOn契約の選手が出てきている。
「ロンドンマラソン」でヘレン・オビリ選手が自己ベストを1分48秒更新。「パリマラソン」ではイエマン・クリッパ選手が48秒更新して勝利した。「ボストンマラソン」のジョー・クレッカー選手は、4分41秒も短縮している。Onによれば、彼らを含む主要アスリート6名の自己ベスト大幅更新を後押ししたという。
実際に走ってみた

今回、本メディア編集長の竹中がイベントで試し履きを行った。初級ランナーで、普段はトレイルランニングが主戦場だ。走ったのは発表会と同じ箱根・芦ノ湖周辺。気温は実測26度、蒸し暑さのある条件だった。(試したのは、LightSpray バージョンではなく通常版)
最初に感じたのは、中足部より前で「より進む」感触だ。踏み込んだ位置から前へ送られる感覚が強い。CloudTec Sphere™ が前足部のポッドを独立させているという構造と、体感した感じでは一致している。
バウンド感もある。ただしそれは、スピードを上げたときにはっきりと現れてくる。ゆっくり走っているうちは、それほど主張してこない。斎藤選手が言っていた「速く走るほどクッションを活かせます」という指摘と重なる部分だ。
意外だったのは安定感である。かかとはしっかりホールドされ、レーシングシューズにしては足元が落ち着いている。今回改善されたと明言されているヒール構造が効いているのだろう。
「長い距離を走りたくなる」という感覚だった。Onがターゲットに掲げるようなランナーにぜひこのシューズを使ってみて欲しいと感じた。


発売情報
| 発売日 | 2026年7月30日(木) |
|---|---|
| 価格 | Cloudboom Strike 2: 35,200円(税込) LightSpray Cloudboom Strike 2: 44,000円(税込) |
| 重量 | 191g/158g(いずれもメンズ26.5cm) |
| サイズ | オールジェンダー(メンズ25-33cm相当/ウィメンズ22-29cm相当) |
| カラー | Cloudboom Strike 2: Aconite | Verdite、Verdite | Aconite、White | Lime LightSpray Cloudboom Strike 2: White | Lime |
| 取扱店舗 | On Flagship Store Tokyo Ginza、On Store Tokyo Cat Street、on.com、全国の取扱店舗 |
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- RUNNING style
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