
JCX開幕戦土浦で松本一成と渡部春雅が独走勝利 最後尾スタートの松村拓弥が11秒差まで猛追|JCX土浦
Bicycle Club編集部
- 2026年10月06日
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国内シクロクロスの最高峰シリーズ「JCX」の2026-2027シーズンが茨城県土浦市で開幕。2027年全日本選手権のプレ大会としても注目を集めた平坦高速コースで、男子エリートはグラベルバイクを駆った松本一成(Hifive racing/ホンダカーズ群馬)が独走V。最後尾98番から猛追した松村拓弥(群馬マンモスレーシング)を振り切った。女子エリートは渡部春雅(Liv Racing Japan)が序盤からライバルを圧倒して制した。
2027年全日本選手権を見据える土浦でJCX開幕
秋の気配が色濃くなり始めた10月4日、国内シクロクロスシーンのトップシリーズである「JCXシリーズ」の2026-2027シーズン開幕戦「お米の田島屋 presents 茨城シクロクロス土浦ステージ」が、茨城県土浦市の「りんりんポート土浦」周辺特設コースで開催された。

土浦は、2021年に第27回全日本自転車競技選手権大会シクロクロスが開催された名舞台だ。そして2027年12月には、6年ぶり2度目となる日本一決定戦の開催がすでに決定している。JCF(日本自転車競技連盟)が今大会を「来年度の全日本選手権CXのプレ大会とも言える開催」と位置づけたこともあり、会場には東北から関西まで全国各地からトップライダーとシクロクロスファンが集結した。

コースは霞ヶ浦の湖畔に広がるフラットな草地と陸上競技場外周の土手(キャンバー)を組み合わせたレイアウト。一部に前日の湿り気が残るウェット区間があったものの、全体としては引き締まった高速ドライコンディションとなった。テクニカルな泥セクションよりも、持続的なパワーとハイスピードでの巡航力、そして細かな芝のバンプをいなすバイクコントロールが勝敗を分ける舞台設定となった。

女子エリート:渡部春雅がホールショットから圧巻の独走劇
午後に行われた女子エリート(WE1)は、スタート直後からロード、MTB、トレイルランニングでも活躍するマルチタレント、渡部春雅(Liv Racing Japan)が主導権を握った。

陸上競技場トラックからの号砲とともに鋭いダッシュを見せた渡部は、難なくホールショットを奪うと、芝生のストレートで早くもライバルたちを引き離しにかかる。後ろには全日本ジュニアチャンピオンジャージを着る小林碧(AX Cyclocross Team)や、実力派の椿井和佳奈(OLIVE)が食らいつくが、渡部のスピードは一枚上手だった。


渡部はランニングセクションやシケインでも一切スピードを落とすことなく、周回を重ねるごとにリードを秒単位で拡大。独走態勢を完全に固めると、最後まで危なげないラップを刻み続け、48分15秒210でフィニッシュラインを駆け抜けた。

後方では、椿井と小林による激しい表彰台争いが繰り広げられた。序盤から攻めの走りを続けた小林が後半失速。椿井が単独2位へと抜け出し、51秒差でフィニッシュ。小林が3位に入り、若手実力者たちが開幕戦から高い仕上がりを見せた。なお、昨年の覇者である竹村舞葉(SHIDO-WORKS)は序盤からDi2のシフトトラブルに見舞われながらもバイクチェンジ後、粘り強い走りで4位に踏みとどまり、意地を見せた。


男子エリート:松本一成が平坦をねじ伏せる 松村拓弥は最後尾98番からの猛追
この日のメインレースとなった男子エリート(ME1)には、全国から集った98名が出走。スタートグリッドはランキング順で整列し、会場のボルテージは最高潮に達した。

最前列から飛び出し、序盤からレースを決定づけたのはHifive racing/ホンダカーズ群馬の松本一成だった。平坦基調のレイアウトで持ち前の大パワーを炸裂させ、1周目から単独先頭へと躍り出ると、追従を試みる加藤健悟(臼杵レーシング)や永野昇海(イナーメ信濃山形)を突き放していく。

しかし、松本の独走劇と同じくらい観客の目を釘付けにしたのが、後方からの猛烈なチェイスだった。
ロード世界選手権の遠征から帰国直後で参戦した松村拓弥(群馬マンモスレーシング)は、最後尾グリッドとなるゼッケン98番からのスタート。前を塞ぐ大集団を縫うようにパスし、1周目を終えた時点で早くも29番手付近までポジションを挽回する驚異のジャンプアップを見せる。



松村の勢いは止まらない。2周目、3周目とラップタイムを刻むたびに順位を上げ、レース中盤には表彰台圏内に突入。終盤には単独2番手へと浮上し、独走する松本とのタイム差を1秒ずつ削り取っていく。会場のMCと観客の視線は、先頭を行く松本と、猛追する松村のギャップに釘付けとなった。

だが、トップを快走する松本は冷静だった。背後に迫る松村のプレッシャーを受けながらも、コーナーの立ち上がりで鋭く加速し、20秒前後のセーフティリードをキープ。最終周回もノーミスで走りきり、58分05秒790で歓喜のトップチェッカーを受けた。最後尾から驚異的な追い上げを見せた松村は、わずか11秒差の2位まで迫ったものの惜しくも届かず。3位には安定したペースを刻んだ永野昇海(イナーメ信濃山形)が入った。


勝者の機材:高速土浦を制したグラベルバイクという選択
この日、松本一成の圧勝を支えた「機材選択」にも大きな注目が集まった。
松本が土浦のコースに投入したのは、純粋なシクロクロスバイクではなく、SCOTTの軽量グラベルレーサー「ADDICT RC GRAVEL HMX」フレームセットをベースにした1台だった。

コンポーネントにはシマノ・DURA-ACE Di2やGRX Di2をミックスした11速コンポーネントを採用し、足元には平坦での転がり抵抗を極限まで抑えるセンタースリックパターンのチューブレスタイヤ「IRC SERAC CX EDGE TLR」をセット。霞ヶ浦からの風が吹き抜け、長い直線でパワーを掛け続ける土浦のレイアウトにおいて、グラベルバイク特有の直進安定性とエアロダイナミクス、そしてタイヤの低転がり抵抗が大きなアドバンテージを生み出した。
松本一成のコメント
「平坦で踏み続けるレースになることは分かっていました。後ろから松村選手が思ったより早いペースで上がってきたので少し焦りましたが、差を一気に詰められないよう集中して耐え抜きました。例年はこの時期、スピードスケートのトレーニングも並行していますが、今季はシクロクロスに対して強い気持ちで臨んでいます。全日本選手権でしっかり表彰台を狙いたい」
織田聖や沢田時、副島達海ら国内屈指の強豪勢が不在の開幕戦だったとはいえ、松本の力強い走りと、松村の衝撃的な追い上げ劇は、今シーズンの国内シクロクロス界に強烈なインパクトを残した。
男子ジュニアは三上将醐が圧勝、ME2は綾野尋が復活の昇格V
男子エリートに先駆けて行われたカテゴリーでも、今シーズンを占う熱い戦いが繰り広げられた。

男子ジュニア(MJ)では、三上将醐(ATHLETUNE CORAGGIO KAWANISHI)が独壇場のレースを披露。シケインを軽やかなバニーホップで飛び越え、テクニックとパワーの双方で他を圧倒。41分54秒050という驚異的なタイムでフィニッシュした。
特筆すべきは、1分前にスタートした男子エリート2(ME2)の優勝タイム(44分57秒660)を、1分差スタートでありながら3分以上も上回ったことだ。表彰台の上で三上は「全日本優勝と、世界選手権でのトップ20入りを目指します」と力強く宣言した。


そのME2を制したのは、フランス留学を経てシクロクロスシーンに復帰した綾野尋(cycleclub3UP.)だった。2024-2025シーズンまでトップカテゴリーのME1で走り、全日本MU23でも活躍していた実力派。長期のブランク明けとなったが、土浦の高速バトルを唯一の44分台で駆け抜け、復帰初戦で見事に優勝。わずか1戦でME1への即日復帰を果たした。なお、57名が出走したME2においてフルラップ完走を果たしたのはわずか4名という過酷なサバイバルレースとなった。

2027年全日本へ向けた胎動 地域と熱気が交差する土浦の魅力
レースの熱戦とともに、会場全体を包んでいたのは「地域の温もり」と「2027年全日本開催への高揚感」だった。

開会式には土浦市副市長をはじめとする行政関係者が出席し、2027年12月に決定している全日本選手権の開催に向けた力強いサポートを表明。地元観光協会のブースでは名物「土浦の花火」のPRやつちまるグッズが並び、飲食ブースには選手や家族連れの笑顔が溢れた。
大会オーガナイザーを務める影山善明氏(オンザロード代表)は、2027年の全日本開催についてこう語る。
「本番だけでなく、できれば通常のシリーズ戦も並行してやりたいですね。全日本選手権では今回のエリアだけでなく、もっと広大なエリアを使ったダイナミックなコースレイアウトを構想しています」


また会場では、シクロクロス界の熱心な支援者である人気漫画『弱虫ペダル』の作者・渡辺航先生によるチャリティーサコッシュ販売&サイン会も実施。長蛇の列を作ったファン一人ひとりにイラストとサインを丁寧に描き込み、コースサイドからもライダーたちへ熱い声援を送っていた。

迅速な計測で速報を提供したFlecha、会場を盛り上げたMC陣、コースマーシャル、受付、そして地元ボランティア。トップライダーたちの真剣勝負を支える温かいコミュニティの存在こそが、土浦ステージの最大の魅力だ。2027年冬の日本一決定戦へ向けて、土浦の挑戦は最高のスタートを切った。
リザルト
男子エリート・カテゴリー
Men Elite (ME1)
1位 松本 一成(Hifive racing/ホンダカーズ群馬) 58:05.790
2位 松村 拓弥(群馬マンモスレーシング) +00:11
3位 永野 昇海(イナーメ信濃山形) +00:49
Men Category 2 (ME2)
1位 綾野 尋(cycleclub3UP.) 44:57.660
2位 佐藤 光(TeamCyclersSNEL) +00:12
3位 内田 灯矢(午後4時座銀の人達) +00:55
Men Category 3 (ME3)

1位 中村 大輝(変態志駆路倶楽部) 30:56.960
2位 雨貝 祐輔(SHIDO-WORKS) +00:04
3位 佐藤 正一(ウィディー筑波シクロクロスチーム) +00:08
Men Category 4A (ME4A)

1位 今西 大地(パラティアムTOKYO) 30:13.450
2位 手塚 健太(ぼっちれーしんぐ) +00:50
3位 浅野 陽(Vite jambe) +00:54
Men Category 4B (ME4B)

1位 大藤 優作(Team 一匹狼) 30:28.270
2位 赤對 宥紀(TeamSOLA) +01:18
3位 鈴木 陽大(The Delez Squad) +01:21
女子エリート・カテゴリー
Women Elite (WE1)
1位 渡部 春雅(Liv Racing Japan) 48:15.210
2位 椿井 和佳奈(OLIVE) +00:51
3位 小林 碧(AX Cyclocross Team) +01:13
Women Category 2+3 (WE2+3)

1位 Yeh Emily(VAPOR CX TEAM) 35:31.530
2位 高見 楓(Flecha) +00:01
3位 末吉 多恵(Positivo) +00:45
Women Masters (WM)

1位 西山 みゆき 32:28.130
2位 小林 慧美(SUBARU Cycling Team) +02:25
3位 綾野 桂子(TEAM GRM) +02:35
ジュニア・ユース
Men Junior (MJ)

1位 三上 将醐(ATHLETUNE CORAGGIO KAWANISHI) 41:54.050
2位 蜂須賀 巧真(BUCYO COFFEE/Urban Deer Cycling Team) +01:49
3位 横田 壮一郎(Fine Nova LAB) +02:44
Men Under 17 (MU17)

1位 角田 直央(Fine Nova LAB) 28:33.230
2位 富樫 悠太郎(CROSS YAMANASHI) +00:08
3位 大関 麟太郎(弱虫ペダルサイクリングチーム) +00:15
Men Under 15 (MU15)

1位 村上 鳳冴(TEAM CHAINRING) 30:47.280
2位 森田 圭 +00:47
3位 山口 登新(W.V.OTA) +00:52
Women Under 17 (WU17)
該当者なし(出走1名/DNF)
Women Under 15 (WU15)

1位 飯島 花怜(Team CHAINRING) 31:48.430
2位 奥山 真彩(横浜本牧レーシング) +03:15
※出走2名のため3位なし
マスターズ (MM)
MM35-39

1位 和田 拓海(SHIDO-WORKS) 28:37.650
2位 鶴岡 聖隆(スゴイカッコイイシクロクロスチーム東北) +01:10
3位 倉持 和弘(Team 自転車処 風輪) +01:11
MM40-44

1位 佐川 祐太(SNEL) 28:50.390
2位 佐野 千尋(イナーメ信濃山形) +01:02
3位 笠原 宏紀(ROND CX TEAM) +01:18
MM45-49

1位 藤田 耕志(TEAM RINGOROAD) 28:23.950
2位 井上 耕治(Ino With Stoked Cycle) +00:00
3位 田崎 友康(F(t) Racing マルシン食品) +00:13
MM50-54

1位 中島 由裕(ボルケーノレーシング) 29:03.150
2位 生田目 修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス) +00:01
3位 杉原 貴弘(チーム バケラッタ) +00:06
MM55-59

1位 川瀬 章史(DESTRA) 30:38.100
2位 小田島 貴弘(maillot SY-Nak) +00:04
3位 河尾 輝彦(Y練/轍屋) +00:13
MM60-64

1位 浅井 秀樹(SNEL) 30:50.040
2位 紫藤 仁(ARCCレーシングチーム) +00:26
3位 伊井 賢一(臼杵レーシング) +00:49
MM65-69

1位 佐藤 稔(スワコレーシングチーム) 30:59.000
2位 増田 謙一(SHIDO-WORKS) +00:12
3位 大竹 雅一(MTB SHOP OTAKE) +01:37
MM70-74

1位 安西 勉(RIDAレーシング) 29:14.790
※出走1名のため2位・3位なし
MM75-79

1位 鈴木 昭男(TEAM SHIDO) 30:03.470
※出走1名のため2位・3位なし
キッズ (CK)
Kid’s 3 (CK3)

1位 伊藤 岳(ブリッツェン☆ステラ) 12:52.160
2位 森田 旬 +00:03
3位 村上 耀太(村上兄弟) +00:25
Kid’s 2 (CK2)

1位 高橋 良介(Mile Post BMC Racing Team) 13:25.280
2位 杉山 晴飛(とちぎJr.MTBレーシング) +00:00
3位 丸山 直登(イオンバイクjrレーシング) +01:44
Kid’s 1 (CK1)

1位 杉山 立夏(とちぎJr.MTBレーシング) 12:03.830
2位 堺 青琉(R’s court) +00:46
3位 渡辺 咲人(teamKAZUMA) +02:20
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 文と写真:井上和隆
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