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大逆転劇で松本貫汰が男子ジュニア制覇 U17は福地大和、女子は阿部理沙が戴冠|全国ジュニア自転車競技大会

10月25日、三重県四日市市の水沢・桜地区特設コースにて「2026四日市サイクル・スポーツ・フェスティバル(第22回全国ジュニア自転車競技大会)」ロードレースが開催された。雨天のサバイバルとなった午前から一転、午後の男子ジュニアでは最大48秒差を残り1周手前でひっくり返す劇的な展開となり、松本貫汰(盛岡農業高校)が優勝。男子アンダー17は福地大和(堺市立堺高校)、女子は阿部理沙(別府翔青高校)が総合優勝を飾り、女子アンダー17は清野心花(クラブ二輪倶)が頂点に立った。

茶畑が広がる四日市市の特設コース 雨天のスリッピーな路面が選手を試す

日本の自転車競技界の未来を担うジュニア世代から小学生までが一堂に会する「全国ジュニア自転車競技大会」。その舞台となったのは、三重県四日市市西部の「鈴鹿山麓リサーチパーク」周辺に設定された1周9kmの特設コースだ。2004年に四日市で開催されたアジア自転車競技選手権のロードレース公式コース(完全公道の1周9km)をそのまま使用しており、本大会自体もこのアジア選手権を契機に2005年から続いている。1周あたりの獲得標高は約100mを数える。

コース周辺には、三重県が全国一の生産量を誇る特産品「かぶせ茶」の美しい茶畑が広がる。四日市を代表する風景の中を駆け抜けるロケーションだが、コース自体はアップダウンが連続し、フィニッシュ手前には約300mの上り坂が待ち受けるタフなレイアウト。さらに大会当日は朝から断続的な雨に見舞われ、アスファルト舗装ながら雨天時には滑りやすい箇所が随所に現れた。午前中のアンダー17や中学生カテゴリーでは雨脚が強まる時間帯もあり、選手たちは難しいウェット路面への対応を迫られた。一方、午後の男子ジュニアが始まる頃には雨が弱まり、蒸し暑さが残るなかでの号砲となった。

男子ジュニア:最大48秒差の逃げを残り1周手前で吸収 松本貫汰が上りスプリントを制す

98.8kmで争われた最上位カテゴリーの男子ジュニアは、最後まで勝敗の行方が分からない劇的な展開となった。

レース中盤、井上悠喜、各務遼音、田中颯らを含む逃げグループが形成され、レースの主導権を握る。周回を重ねるごとに先頭グループのメンバーは絞られ、終盤には井上、各務、田中の3人が先行する形となった。先頭3人とメイン集団とのタイム差は約40秒から一時最大48秒まで拡大。残り距離を考えても、先頭3人による逃げ切りが濃厚かと思われた。

一時は最大48秒のリードを築いた男子ジュニアの逃げグループ
レース中盤から終盤にかけて主導権を握り、一時は最大48秒のリードを築いた逃げグループ

しかし、後方集団は諦めていなかった。のちに優勝を飾る松本貫汰(盛岡農業高校)が「追走集団のなかで『みんなで回していこう』という流れがあった。自分も少しでも手助けできるように走っていた」と振り返るように、後続が組織的な追走を開始。コース脇から伝わるタイム差縮小の情報に、松本も「もしかしたら」と望みをつないだという。

懸命な追走によってタイム差が削られていくなか、先頭の逃げグループ内で牽制が始まった隙を突いてメイン集団が一気に急接近。ついに残り1周手前で先頭3人を飲み込み、勝負は振り出しに戻った。

逃げを吸収し13人に絞られた男子ジュニアの先頭集団
逃げを吸収し、勝負は13人に絞られた先頭集団による最終局面へ

吸収の瞬間、「無理かなと思っていたけど追いついたので、そこからは脚をためて最後のスプリントを考えていました」と冷静に戦況を切り替えた松本。優勝争いは13人の集団によるスプリント勝負へと持ち込まれ、勝負どころである最後の300mの上り坂へ突入する。

勾配が上がる最終局面、タイミングよく抜け出したのは松本だった。背後から中村春太(ヴィクトワール広島)や米倉一豊(甲府工業高校)が迫るものの、力強いペダリングでリードを守り切り、両手を大きく広げてフィニッシュラインへ飛び込んだ。

最後の300mの上りで抜け出す松本貫汰(盛岡農業高校)
最後の300mの上りで抜け出し、劇的な逆転優勝を飾った松本貫汰(盛岡農業高校)

「(スプリントの)自信は正直ほどほどでした」とレース後に笑顔を見せた松本だが、「1位が欲しかったので、うまく抜け出せました」と大逆転での全国制覇の喜びを語った。2位には中村、3位には米倉が同タイムで続いた。

男子ジュニア表彰台に並ぶ松本貫汰、中村春太、米倉一豊ら入賞者
男子ジュニア表彰台。1位 松本貫汰(盛岡農業高校)、2位 中村春太(ヴィクトワール広島)、3位 米倉一豊(甲府工業高校)ら入賞者たち

男子アンダー17:雨のサバイバル戦、最終周回の勝機を逃さず独走した福地大和が頂点へ

160人が出走した男子アンダー17(53.8km)は、激しく叩きつける雨とアップダウンの連続するコースによって過酷なサバイバルレースとなり、完走者は110人にとどまった。

周回を重ねるごとに集団から選手がふるい落とされ、終盤には全日本選手権やチャレンジロードの王者ら有力選手を含む20人前後の精鋭集団へと絞り込まれる。

勝負が動いたのは最終周回だった。先頭付近でレースを展開していた福地大和(堺市立堺高校)がふと周囲を見渡すと、後続との間にわずかなギャップが生まれていた。

「気づいたら前にいて、後ろが空いていた。でもなんで空いているのか自分でも分からなかった」と福地は当時の状況を振り返る。思わぬ形で訪れた勝機だったが、そこに迷いはなかった。「最後は行くしかないと思った。坂でもがいて、後ろを見たら誰もいなかった」。

ガッツポーズでフィニッシュする福地大和(堺市立堺高校)
後続を4秒振り切り、力強いガッツポーズでフィニッシュする福地大和(堺市立堺高校)

ためらうことなく独走態勢に持ち込んだ福地は、追走する集団の猛追を振り切ってフィニッシュ。昨年の同大会9位から大きく飛躍を果たし、見事全国タイトルを手中に収めた。

0.026秒差で競り合う小松楽と伊藤隆聖の2位争い
0.026秒差の決着となった小松楽(瀬田工業高校、右)と伊藤隆聖(岐阜第一高校、左)による熾烈な2位争い

福地から4秒遅れてやってきた後続集団では、表彰台を懸けた激しいスプリントが展開された。小松楽(瀬田工業高校)と伊藤隆聖(岐阜第一高校)がフィニッシュライン直前まで並走し、互いにハンドルを投げ込む大接戦に。写真判定の結果、わずか0.026秒差で小松が先着し2位、伊藤が3位となった。

男子アンダー17表彰式で両手を掲げる福地大和
男子アンダー17表彰式。優勝した福地大和が誇らしげに両手を掲げる

女子ジュニア+女子アンダー17:上りスプリントで阿部理沙が総合優勝、ロード2戦目の清野心花がアンダー17を制す

35.8kmで争われた女子ジュニア+女子アンダー17の混走レースは、終盤にかけて阿部理沙(別府翔青高校)と、女子アンダー17カテゴリーの清野心花(クラブ二輪倶)の2人が集団から抜け出し、総合優勝を懸けた一騎打ちへと持ち込まれた。

2人が協調しながら後続との差を広げ、迎えた最終周回ラスト300mの上りフィニッシュ。先行して仕掛けたのは阿部だった。

一騎打ちの上りスプリントを制した阿部理沙(別府翔青高校)
一騎打ちの上りスプリントを制した阿部理沙(別府翔青高校)

「最後は締め切れてうれしかったです。スプリントは苦手なんですけど、最後が坂だったので積極的に行きました」と語る阿部が、上り勾配を味方につけた積極的なロングスプリントで清野を振り切り、見事総合優勝を飾った。

一方、1秒差の総合2位でフィニッシュした清野は、女子アンダー17カテゴリーでの優勝を獲得。「ロードレースは2回目で、まだ全然経験が浅くて、レース中もすごくドキドキしていました。でも楽しめたので良かったです」と初々しいコメントを残したが、キャリアわずか2戦目にして全国の頂点に立つ高いポテンシャルを示した。3位には八木悠里(相模女子大学高等部)が入った。

女子ジュニア+女子アンダー17の表彰台
女子ジュニア+女子アンダー17の表彰台

中学生・小学生カテゴリー&地域の魅力発信:茶畑の特設コースで未来のスターたちが躍動

次世代を担う中学生・小学生の各カテゴリーでも、悪天候を吹き飛ばすような熱戦が繰り広げられた。

中学生・小学生カテゴリーのレース風景

中学生男子(35.8km)では、終盤まで集団内での激しい駆け引きが続く展開に。最後は集団スプリントへと持ち込まれ、中学2年生の青井鷲大(大阪府)が船岡湊(広島県)、古谷智啓(静岡県)との接戦を制して優勝を飾った。

集団で競り合う中学生男子のレース

中学生女子(17.8km)では、数元陽華(大阪府・中3)が序盤から積極的な走りで後続を引き離し、2位の藤岡陽葵(愛媛県)に51秒もの大差をつける圧巻の独走勝利。滑りやすい難コンディションのなかでも安定したライディングを披露した。

また、距離別・学年別に細かくカテゴリー分けされた小学生レースや未就学児らのレースでは、四日市市の森智広市長がスターターを務め、小さな選手たちが真剣なまなざしでコースへと飛び出していった。

森智広四日市市長の号砲でスタートするキッズカテゴリーの選手たち
四日市市の森智広市長が号砲を鳴らし、キッズカテゴリーの選手たちが一斉にスタート

会場では競技だけでなく、地域の魅力を発信する取り組みも盛んに行われた。水沢地区の名産である「四日市かぶせ茶」のPRブースが展開され、表彰式では副賞としてかぶせ茶を使用した菓子や地元キャラクターグッズが贈呈された。全国から集まった選手や家族、大会関係者に四日市・水沢地区の温かなおもてなしと特色を強く印象づけていた。

会場に設けられた四日市かぶせ茶のPRブース
表彰式の副賞にも使われた地元名産「四日市かぶせ茶」のPRブース

第22回全国ジュニア自転車競技大会ロードレース リザルト

男子ジュニア(98.8km)

1位 松本 貫汰(盛岡農業高校・岩手) 2時間28分50秒
2位 中村 春太(ヴィクトワール広島・広島) 同タイム
3位 米倉 一豊(甲府工業高校・山梨) 同タイム

男子アンダー17(53.8km)

1位 福地 大和(堺市立堺高校・大阪) 1時間21分10秒
2位 小松 楽(瀬田工業高校・滋賀) +04秒
3位 伊藤 隆聖(岐阜第一高校・岐阜) +04秒

女子ジュニア+女子アンダー17(35.8km)

1位 阿部 理沙(別府翔青高校・大分) 1時間04分30秒
2位 清野 心花(クラブ二輪倶・山形) +01秒 ※女子アンダー17優勝
3位 八木 悠里(相模女子大学高等部・神奈川) +1分43秒

中学生男子(35.8km)

中学生男子のレース

1位 青井 鷲大(中2・大阪府) 56分54秒
2位 船岡 湊(中2・広島県) +01秒
3位 古谷 智啓(中3・静岡県) +01秒

中学生女子(17.8km)

中学生女子のレース

1位 数元 陽華(中3・大阪府) 31分15秒
2位 藤岡 陽葵(中3・愛媛県) +51秒
3位 西田 陽夏(中1・大阪府) +2分27秒

※小学生は、ロングコースの「Bクラス」とショートコースの「Cクラス」に分かれて実施。各カテゴリーの距離は、周回コースを規定周回した距離からフィニッシュまでの0.2kmを引いた数値となる(B-3・B-4=9kmコース1周、B-1・B-2=2.4kmショートコース2周、C-1〜C-4=2.4kmショートコース1周)。

小学4〜6年男子(B-3 / 8.8km)

小学4〜6年男子(B-3)のレース

1位 篠原 海(小6・愛知県) 15分32秒
2位 小島 蒼士(小6・京都府) +31秒
3位 小菅 瑛都(小6・愛知県) +32秒

小学4〜6年女子(B-4 / 8.8km)

小学4〜6年女子(B-4)のレース

1位 佐野 真麻(小6・愛知県) 16分29秒
2位 馬場 奏実(小6・神奈川県) +44秒
3位 藤田 楓(小6・奈良県) +44秒

小学1〜3年男子(B-1 / 4.6km)

小学1〜3年男子(B-1)のレース

1位 金子 蓮(小3・大阪府) 8分25秒
2位 北原 広樹(小3・長野県) +34秒
3位 杉山 立夏(小2・栃木県) +35秒

小学1〜3年女子(B-2 / 4.6km)

小学1〜3年女子(B-2)のレース

1位 田濃 椛羽(小3・京都府) 8分51秒
2位 八坂 愛菜(小3・愛知県) +06秒
3位 武田 絵美梨(小2・東京都) +1分02秒

小学4〜6年男子(C-3 / 2.2km)

小学4〜6年男子(C-3)のレース

1位 齋藤 望(小5・三重県) 4分13秒
2位 渡邉 尊(小6・栃木県) +03秒
3位 盛合 顕太(小5・富山県) +28秒

小学4〜6年女子(C-4 / 2.2km)

小学4〜6年女子(C-4)のレース

1位 岸端 優來(小6・愛知県) 4分03秒
2位 岡林 笑瑠(小5・愛媛県) +09秒
3位 普久原 舞海(小5・栃木県) +57秒

小学1〜3年男子(C-1 / 2.2km)

1位 森川 鯉太郎(小2・滋賀県) 4分51秒
2位 田中 湊大(小3・群馬県) +03秒
3位 齋藤 歩(小2・三重県) +08秒

小学1〜3年女子(C-2 / 2.2km)

1位 宇都 綾乃(小2・東京都) 5分01秒
2位 普久原 海希(小3・栃木県) +22秒
3位 盛合 春花(小2・富山県) +1分25秒

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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