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全日本大学駅伝の見どころは「独自性」。この大会ならではのドラマを生む原点だ

東海大学時代に箱根駅伝を三度走り、現在も選手として、また自ら立ち上げたランニングクラブとYouTubeチャンネルで活動する中島怜利さんに、11月1日に開催される全日本大学駅伝の見どころを語ってもらった。学生三大駅伝のひとつに挙げられる大会の注目ポイントは、「10月の出雲駅伝や1月の箱根駅伝と異なる独自性」だという。

文字通り、全国の大学に出場機会が与えられる駅伝

毎年10月のスポーツの日に開催される出雲駅伝。同じく11月第1日曜日の全日本大学駅伝。そして1月2日~3日の箱根駅伝。この3大会の総称が学生三大駅伝です。

開催日を見ても、学生三大駅伝のフィナーレを飾るのが箱根駅伝であるのは明らか。その幕開けとなる出雲駅伝に参加できる国内の大学チームは20校。予選会はなく、全国8地区から選抜されますが、関東枠の10校は前年の箱根駅伝でシード権を獲得した上位10チームが占めます。つまり箱根と出雲には、出場資格でつながりがある。

しかし全日本大学駅伝は、前年大会の上位8チームにシード権が与えられるものの、各地区の選考会に挑める点で、文字通り全国の大学に出場機会があります。その出雲や箱根にない独自性が、全日本ならではのおもしろさを生み出す原点になっているのです。

中島さんは、全日本大学駅伝の予選会に出場

未来の箱根スターをチェックする楽しみ

全日本大学駅伝は、箱根駅伝の前哨戦のようにとらえられていますが、必ずしも箱根駅伝に出る選手が出場するとは限りません。

箱根は、総距離217.1㎞を10区間10人で走る競技。全日本は、愛知県の熱田神宮から三重県の伊勢神宮までの106.8㎞を8区間に分けて襷をつなぎます。なおかつ1区間の距離は、箱根の約20㎞に対しておおむね半分。

となると、距離が長いほうが得意な選手はメンバーに選ばれにくくなります。また、コース上に箱根のような極端な上り下りがないので、山に特化した選手も外れがちです。

選手選考は各チームの戦略次第ですが、箱根の20㎞はまだ厳しくても、10㎞ならイケそうな1年生の出場機会が増えるのが全日本の特徴です。ここで頑張ったルーキーが先々の箱根を走る可能性が大きいので、未来のスターをチェックしておく楽しみもあります。

同様に全日本大学駅伝の予選会に中島さんが出場した時の様子

箱根に出られないチームがすべての悔しさをぶつけてくる

いかに全日本大学駅伝の独自性が高いと言っても、箱根駅伝との縁は切れません。箱根に出る選手が最後の実戦調整を行うため走るケースが少なくないので、全日本を見ておかないと箱根の結果が占えないところがあります。

一方、箱根駅伝のシード権がなく、箱根の予選会にも通れなかったチームにとっては、全日本がその年最後の大舞台になります。4年生にすれば引退試合。すべての悔しさをぶつけてくるので、出雲や箱根とは異なるレース展開になります。

特に前半は荒れがち。僕ですら名前を知らない選手が飛び出してくるのも稀ではありません。また、全日本と箱根の優勝チームが被ることも少ない。

それもまた独自性を持つ大会の特徴です。全日本ならではのドラマをぜひ楽しんでください。

2017年、第93回箱根駅伝の6区を、1年次から走った際の中島さん

何があっても全日本に出場する強い気持ち

最後に、各チームにとっていかに全日本大学駅伝が重要かを示すエピソードを。僕は長距離と山の下りが得意だったので、東海大学時代は1年生から3年生まで箱根駅伝の6区を走ることができました。しかし全日本は、自分の特性を発揮できないところがあったので、実は一度も走っていません。

ですが1年生のとき、微かなチャンスがありました。エントリーできるのは、8区間8人に加えて補欠が5人の全13名。僕は13番目の選手でした。なのにチーム全体で食中毒。初期に罹った僕は、当然補欠から外れました。しかし監督はこう言ったのです。

「もう一人崩れたら、1周回ってお前だぞ。大会当日の午前3時には電話を取れるようにしておけ」

このとき僕は、休養で実家の兵庫県姫路市にいたのですが、もしメンバーに問題が出ても午前3時にクルマで姫路を出れば、後半戦に差し掛かる三重に何とか間に合う、というのが監督の計算でした。結局、予定した選手が出場できたのですが、チームとして何があっても全日本に出場する強い気持ちを知ることができました。

YouTube:レイリーチャンネル【中島怜利】

https://www.youtube.com/@reylee_ch

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PROFILE

田村十七男

田村十七男

“紙時代”のRUNNING Styleで読者参加のホノルルマラソン挑戦企画を担当。8年連続で12月のホノルルを完走した経験を時々思い出すフリーランスライター。

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